弊社有限会社マーベルサプライは、これまで多くの統計調査を使用し、様々なデータを分析してきました。中には東日本大震災に関わる案件や公共政策に関わる案件など、非常に多岐にわたっています。
今回、新型コロナウイルスの蔓延によって社会不安が広まり、人の活動が極端に少なくなりました。その結果、外食産業と言われる飲食店では非常に大きな経済的損失を受けています。
しかしながら、そもそも飲食サービスに係る経済規模は明らかでなく、今のところ損失が大きいだろうという推測しか言えません。そこで、私たちが持っている情報をもとに、飲食サービスの経済規模と影響を試算することで、今後の公的補助の必要性や長期化するであろう回復までの道のりが見えてくるのでないかと思い、資料をとりまとめました。
私たちは、飲食店および関係者の皆さまに、ファクト(事実)をお届けいたします。これが、目を覆いたくなるような数字でも、決して、未来を諦めずに、がんばりましょう!
2020年4月 代表取締役 田邊 慎太郎
本資料は、北海道および札幌市における飲食店の支出合計を主体単位で試算するものです。ここで主体とは、一般世帯、旅行者、企業体とし、それぞれの1主体あたり主出額と主体数の積を主体の支出としています。また、課題評価を避けるために、明確に飲食店に支払わている統計項目を使用しています。
主体ごとに支出額が明確になることによって、各飲食店の顧客がどの程度の市場をもっていたのか、また、それらが回復する傾向に向かうのかどうかといった予想や判断に利用されることを期待しています。
また、マクロな数字を知ることは、政策立案にとって必要なことです。穴の大きさがわからなければ、その穴を埋める材料、方法も決められませんので、是非、この数字をみていただき、参考にしていただければ幸いです。
飲食店への支出合計
北海道の1カ月あたりの経済規模をまとめます。北海道全体で819億円、うち札幌市が252億円、他道内が568億円となりました。主体別にみると、一般家庭と国内旅行者の割合が高く、特に他道内では国内旅行者の割合が高くなっています。
作成:MARVELSUPPLY
主体別の減少率を仮定すると、一般家庭(30%減)、国内旅行者(90%減)、外国人旅行者(100%減)、企業(30%減)と仮定します。P10の結果をもとに北海道全体の影響を試算する(上表)と819億円から197億円と約1/4に減少、札幌市でも252億円から95億円に6割減少と試算されます。
また、札幌市において雇用への影響を試算(下表:枠囲み)すると、市内雇用者報酬が63億円から38億円に減少し、約3万人に影響がでると試算されます。
§飲食店の経営計画、政策への反映
今回の仮定に基づけば、札幌市の飲食店に関わる経済を保全しようとすると、雇用に38億円、中間投入(卸売業や資材業など)88億円、あわせて1カ月あたり約120億円以上の資金の投入が必要です。この金額を経営者は私財で補いつつ、行政からの補填をうけることになるでしょう。もし、借入れが少なく、私財をそこそこ蓄えた経営者さんなら、ここで撤退するのも1つの決断です。一方、この不況での借入金は無利子であっても非常に厳しいものです。行政は、この状況が長引くほど、多くの資金投入が必要になりますし、赤字公債の発行という厳しい決断になってくるかもしれません。
§人は経済の源泉である
新型コロナウイルスの猛威は、社会を一変させました。
人間は、人間同士が集うことでお互いを守りあって進化してきましたが、ウイルスの感染を防ぐためには、互いの接触を避けなければなりません。
特に、飲食サービスは、人が集う場の提供という側面ももっており、このようなコミュニケーションを促進するサービスを提供することができなくなってしまいました。さらに、北海道は、多くの旅行者が訪れ、思い出をつくる場として、国内のみならず、世界からも親しまれてきました。
当面、この状況を変えることはできませんが、この難局を乗り切った後、新型コロナウィルスが蔓延する以前の状況まで回復できるように努めます。
本資料を飲食店の皆さま、行政、政治、メディアなど多方面の方に、ご一読いただき、事実を受け止め、最適に意思決定していただければ幸いです。