WEBマーケティングを実施するとき、そのリスクについて知っておくことは、非常に重要なことでしょう。どのようなリスクが生じるのか、また、その対策をどうするのか、WEBマーケティングの基本を抑えながらまとめました。
目 次 |
WEBマーケティングの一番初めの目標は、アクセス数の増加です。そして、最終目標はお客様に満足していただくことです。
このアクセス数の増加が目的化してしまうのが、リスクの根本です。特に、話題性のある情報を出してアクセス数を短期で高めることができれば、多くの見込顧客の認知度を高められます。この話題性というのは、どのような心理的側面があるでしょうか。
マズローの段階欲求説
生理的欲求 |
食事や睡眠、排泄などの生命活動を維持するために必要な欲求 |
安全・安定の欲求 |
身体的・精神的安全性や経済的安定性の欲求 |
所属と愛情の欲求 |
集団に所属したいという社会的欲求 |
承認欲求 |
他人から高い評価を得たい、自尊心を満たしたいという欲求 |
自己実現欲求 |
自分の能力を最大限に引き出したい、知識を得たい、知りたいという成長欲求 |
出典:科学事典( https://kagaku-jiten.com/social-psychology/individual/motivation.html)
話題性は、、自己承認欲求が満たされる
ネット上の炎上は、以前は芸能人ブログがその対象になることが多かったのですが、誰でもSNSで発信できる
①来店した芸能人を掲載
2011年、ウェスティンホテル東京のレストラン従業員が、サッカー選手とタレントの来店をツイートしたのが大きな話題になりました。
②馬事雑言・誹謗中傷・暴力
同じく、2011年ころ、長万部町のキャラクター、まんべくんの口調や政治的発言、リツートに対する物言いなどが話題になりました。
③不衛生な動画を掲載
挙げればキリがありませんが、最近では、くら寿司、ビッグエコーなどが話題です。
④過去の犯罪行為を掲載
未成年の時に起こした事件の未遂や未検挙など、犯罪に関わることを武勇伝として掲載したものが話題になりました。
⑤相手を威嚇する行為を掲載
最近では、煽り運転、コンビニの店員に土下座させた動画を投稿したものが話題になりました。
ブログやSNSは、企業のマーケティングに欠かせないツールになっています。しかし、情報漏洩や炎上といったリスクにいつも晒されています。では、どのような種類のリスクがあり、その対策はどうすればよいのでしょうか。
①情報漏洩のリスク
情報漏洩は、企業にとって最も瑕疵の大きいリスクといってもよいでしょう。従業員だけでなく、役員を含めて、どこで漏洩してもおかしくありません。よく見かける従業員の集合写真ですが、そもそも従業員と個人情報の取り扱いについて使用の許諾を得ていなければ、個人情報の目的外使用であり、個人情報の漏洩と見なされる事案です。また、社内での写真の背後に、取引先の業務内容がわかるような書類が写り込んでいませんか。
【対 策】
情報漏洩については、まず、情報開示についてルールを作成しましょう。対処療法のルールではなく、情報保護についてのルールを作成しましょう。ルールを作成するには、リスクの評価が重要です。どのような情報がどこにあるのか、どのように移動し、使用され、消去されるのかを把握し、それぞれでどのような対策をするのかをまとめます。そして、最後に、残存リスクを検討します。実は、この残存リスクが大事です。残存リスクを検討すると、実は対策可能なリスクが洗い出されるのです。
②不注意のリスク
不注意が原因のリスクは、企業の価値を失います。高級レストランの料理に髪の毛が入っていたり、違うオーダーの料理が届いたりしたら、そのレストランの価値は大きく下がります。ちょっとした不注意やミスが、これまで築いてきた企業の価値を大きく失うことを認識する必要があります。
【対 策】
不注意は、役員・従業員の教育でカバーすることができます。また、教育だけではなく、企業風土として、常にミスを許さない企業の姿勢が必要です。日報の誤字脱字、もちろん、お客様へのメールなど、日常業務から取り組む必要があり、それを指摘しあう文化を醸成しましょう。そのような基礎ができることで、発信する情報に自ら注意が向けられるようになります。
③食品衛生や労働衛生のリスク
衛生上のリスクは、飲食店で起こり得るリスクと考えられがちですが、その他の企業でも起こり得るリスクです。インフルエンザの疑いがある従業員の出勤、土日の出勤といった過酷な労働環境に関しても、情報を発信した本人だけでなく、雇用している企業も批判の的となってしまいます。
【対 策】
従業員の不平不満を外部で吐露しないような職場環境が必要です。どんなに優良な労働環境でも、どこかに落とし穴があります。また、それを従業員本人も自覚していない可能性があります。SNSへの書き込みが要因となって労働基準監督署の調査が入る可能性があることも指摘されています。従業員には、仕事とプライベートを分けること進め、業務上の不平不満は、上長でも部下でもない第三者に話せるようなメンター制度などを設けましょう。
④自己主張のリスク
自己主張とは、裏を返すと、自己承認欲求を満たしたいということです。単純労働に従事していたり、労働と賃金に不満があったり、仕事にやりがいを見いだせていない場合に、業務上での自己承認欲求の不満が現れます。それを補うために、SNS上でたくさんの「いいね」をもらうことで、自己承認欲求を満たそうする可能性があります。
【対 策】
マズローの段階欲求説によれば、承認欲求は、所属と愛情の欲求を満たされた次の段階になります。個人によって、満たされているかどうかが異なるため、個人個人を見極める必要があるでしょう。労働と賃金の対価は、相対的な要素が強いので、自社の賃金の程度を把握し、明朗な賃金体系とすることが必要です。今では、ほとんどの従業員がfacebook、Twitter、instagramなどSNSのアカウントを持っていますので、そのSNSで「承認の欲求」を満たす行為に至らせないことが必要です。場合によっては、従業員のSNSアカウントを調査する必要があるかもしれません。
⑤劣等感のリスク
劣等感の強い性格は、非常に重大な事件に繋がる可能性があります。劣等感を克服するために、強面な個性を主張したり、ネットなど匿名性の高い空間に依存する可能性があるからです。車に乗ると気性が荒くなったり、立場の弱いものに極端に強くでるといった傾向があります。
【対策】
劣等感を感じる原因は、他人と比較されること、比較することにあります。積極的に、その人を認めてあげる、褒めてあげましょう。「所属と愛情の欲求」を満たしてあげることが重要です。
SNSがこれだけの人々に浸透し、いつでも誰でも何でも発信できるようになりました。
自由な情報の発信は、平和で豊かな社会の一面であると言えます。ほとんどのSNSの投稿はポジティブな内容で、平和なのです。しかし、時に、対人、対社会に不満があると、そのはけ口となってしまう傾向にあります。
企業におけるブログは、単にターゲット顧客や企業へのマーケティングではなく、将来の社員へのマーケティング、既往社員へのインナーマーケティングといった側面も持っています。
WEBマーケティングに多額の投資をして見込顧客を集めてきても、コントロールできなかった従業員の投稿1回で全てが水の泡になる可能性があります。特に、チェーン展開している企業のリスクが高いでしょう。改めて、役員も従業員も、マーケティングの観点で、ブログやSNSの使い方を見直してみてはどうでしょうか。