これだけインターネットやパソコンが普及しているにも関わらず、なかなかエクセル、年賀状ソフト、請求書発行ソフトといった住所録から離れられない企業が多くなっています。その要因は、データの移行が大変そう、CRMも住所録も大きく変わらないだろう、という理由です。既存の住所録からCRMに変更することによるメリットは非常に大きいので、そのメリットを5つほどあげて説明します。
cover story "地元で3代つづく中堅企業の代表取締役社長田中久司さん(50)。様々な経済団体、業界団体、経営者団体などに所属しており、毎月たくさんの名刺を交換しています。中にはビジネスに発展するものもあれば、友人関係のものもあり、整理がついていないのが現状です。とはいえ、せっかく名刺交換したネットワークをビジネスにいかしたい思いもあり、どうしたらよいかわからないまま名刺の束が増えて困っています。名刺は管理が難しいので、データ化していく方が絶対に便利になりますので、解決策をご提案したいと思います。" |
目 次 4.異動の時に名刺やデータ化した名刺をどうするか問題 5.携帯電話・スマホの電話帳の使えない番号・重複番号問題 |
1.はじめに
お客様とお会いすると、多くの中小企業には名刺の管理・運用ルールがありません。
そのような会社でも、恐らく、社長、営業部長は「お客様を大事にせよ」という号令をかけ、できるだけたくさんの方にお会いして名刺交換していることでしょう。
御社では、名刺交換や顧客情報を集めることが目的化していませんか?
名刺交換や顧客情報の収集は、顧客化する、さらに顧客が目標を達成し成功してもらうための手段であってそれ自体は手段に過ぎません。逆に、限られた顧客に目標を達成し成功してもらうことは、他の見込顧客には目もくれないということでしょうか。あなたがその見込顧客を成功に導けるかもしれないのに。
なぜ、名刺管理が難しいのでしょうか。それは単純でその所有権が曖昧だからです。
名刺はあくまでも事業の用として従業員が活動した成果です。交換するための名刺も会社経費、交通費やセミナー参加費も会社経費のことが多いでしょう。したがって、名刺は会社の資産であり、管理責任も会社にあります。
ITmedia ビジネスオンラインhttps://www.itmedia.co.jp/business/articles/1510/15/news011.htmlでも、そのように書かれていますので、詳しくはこちらをお読みください。
当然、社長をはじめとした役員が集めた名刺も当然のように、会社として管理されるべき資産ということになりますね。
名刺を管理するルールがない場合に、どんな問題が生じるのか、いくつか例をあげながらみていきましょう。
なお、弊社もCRMを導入する前は、同じような状況にありました。
2.もらった名刺をどうするか問題
そもそも名刺交換のルールが決まっていないと、もらった名刺をどうするかという問題が発生します。
以前は、名刺フォルダのようなものにしまって、用事がありそうなときにその名刺フォルダをめくりながらお客様の連絡先を探していました。最近は、mybridge、eight、wantedly peopleといった名刺管理アプリが主流になっています。
アプリのカメラで名刺をスキャニングして、それらをデータ化するわけですが、ここでもいくつか問題が発生します。
①スキャニングの数が多すぎて手がつけられない
②スキャニングの精度やOCRの精度が低くて修正に手間がかかる
③他の業務に時間をとられて誰も手を出さない
④社内に名刺を管理する、顧客情報を管理するためのルールがない
つまり、この問題は、会社のオペレーションの問題です。勤怠管理、経費管理をするのと同じように、名刺管理のルールを作る必要があります。しかし、特に難しいルールは必要がありません。
- いつCRMに名刺を登録するのか:例)月末に集め、3日後までにスキャニングする
- 誰がCRMに登録するのか:例)セールスアシスタントがスキャニングおよび登録する
- 登録対象と非対象の分別:例)経営幹部や行政機関は非対象とする、経営幹部の対象者は部長以上が判断する
これらのルールが決まっていれば、あとはCRMにデータをインポートするだけで十分にCRMに顧客データが貯まっていきます。
3.せっかくいただいた名刺を使えない問題
その名刺交換は、何のためにしましたか。
社交辞令でしょうか。本気でお客様になって欲しいのでしょうか。
後者だとすれば、CRMを使って顧客との関係を深めていくことができます。
名刺を交換した相手に、ただ自社の商品を売り込んでも、当然に相手が直ちに購入することはほとんどないでしょう。だとすれば、お客様に自社を理解していただき、納得してもらうための情報を提供しなければなりません。そのきっかけが名刺交換という行為ではないでしょうか。
名刺交換からわかる情報は、会社名、役職、氏名、連絡先、URL、商品やサービスの一部です。
これらの情報を元に、他の商談や打ち合わせ、雑務をしながら、あなたは見込顧客を顧客化していかなければなりません。これはかなり難しい業務であることがお分かりでしょうか。普通に働く方であれば、だいたい年間2000時間程度の業務時間があります。有給休暇を10日とると80時間、2時間の打ち合わせが週2回あれば200時間、1日1回外出があり移動時間が往復1時間であれば50時間、1日30分書類を探す時間があれば25時間・・・どんどんあなたが実務をする時間が削られていきます。
このような状況で見込顧客を育成する時間を作れるセールスが一流セールスで、平凡なセールスにこれをこなすことはできないでしょう。結果、いつも契約してくれそうな見込顧客だけを追いかけて披露していくことになります。
4.その3:Instagram・Facebookの運用
InstargamやFacebookといったSNSは、不動産や住宅販売では、欠かせないマーケティングツールになりました。まだ、SNSを運用していない会社は、早くとりかかるべきです。
では、InstargamやFacebookはどのように運用すればよいでしょうか。不動産や住宅販売では、Instagramが相性がよく、最近の個別住宅やデザイナーズマンションなどは写真だけで充分に訴求できます。一方で、至って平凡な住宅やいわゆる事故物件はどのようにすればよいでしょうか。こちらは、質での価格形成が難しく、価格が安いことをプロモーションしていくことになるでしょう。このような物件に有効なのは、Facebookです。Facebookは、写真だけではなく文章でもしっかり説明できることやグループといったコミュニティをつくり、情報を限定して提供することができます。不特定多数にだすと抵抗がある情報も、グループ内に限ってだすことで、情報の価値を高められることでしょう。
InstargamやFacebookの運用に必要な条件は、
①企業のSNSは必ずしも日記的である必要はありません
②SNS広告も使ってアクセス数を確保しましょう
③近くの友達ではなく友達の向こう側の「いいね」をもらいましょう
④FB・Twitter・Instagram・Linkedinの4つは運用しましょう です。
5.その4:メールマーケティングの実施
みなさんも、新聞社などのメディア、アパレル通販、楽天などどこかの企業からメールマガジンやニュースレターを受け取っているのではないでしょうか。そのうちのほとんどのメールは開封せずに、削除、もしくはそのまま放置されているでしょうが、中にはいつも開くメールや読んでしまうメールがありませんか。メールマーケティングの難しさは、ブログと同様、コンテンツを配信しつづけることにあります。コンテンツを更新できなければ、残念ながら、メールマーケティングも続けられません。
では、どのようにメールマーケティングを続けていけばいいでしょうか。
その方法は、コンテンツを絶やさないことです。SNSに写真をアップし続けること、ブログを更新し続けることです。これができていれば、メールマーケティングが簡単になります。HubSpotでは、ブログ記事のrss.xmlで記事を自動で収集し、メールを配信する機能がありますし、リストも動的に作成してくれるので、エクセルを使ってメールアドレスリストを編集するといった作業も不要です。
メールマーケティングに必要な条件は、
①メールを送付するリストを整理してできるだけ細分化する
②細分化したリストに対して適切な記事を作成する
③メールマーケティングの目的・目標を明確にする(例えば、WEB再来訪の促進)
④メールの開封率、クリックスルーレート、各記事のエンゲージメントを確認する です。
6.その5:E-bookの配布
E-bookと書くと、まるで本を編集するかのように思えますが、そうではありません。
E-bookには、ご想像されるような本も含まれますが、もっと簡単なものは製品の比較表でしょう。
このほか、技術資料、論文、参考見積、プレゼン資料、会社概要、パンフレット、ちらしなど、pdfなどのデータで配布できるものは、全てE-bookとしてよいでしょう。E-book配布の役割は、メール以外のお客様情報をお預かりすることです。つまり、お客様が読みたい、ほしいと思う情報が詰まった資料をダウンロードしてもらい、その対価として情報を入力していただきます。
ランディングページのデザインや構成も重要ですが、CTAで欲しいと思った情報がきちんとダウンロードできればコンバージョン率もあがっていくことでしょう。
E-bookの配布に必要な条件は、
①カスタマージャーニー に合わせた適切な資料を作成する
②適切なCTA、効果的なランディングページと合わせて公開する
③コンバージョン率の目標を設け、確認、修正する です。
7.インサイドセールスの実施
ここまで読み進めていただきましたが、WEB上やインターネットを介してできることには限界があります。
今の商慣習では、対面での交渉が必要になります。顔が見えないひとから、住宅を買ったり、実物を見ていない物件を賃貸することはほとんどないでしょう。しかし、ここまでこの記事を読んできた皆さまならお気づきのように、見込顧客はすでに貴社のこと(場合によってはあなたのこと)を十分に知っていますし、身近に感じていることでしょう。
この時、あるトリガーを見つけてかける電話や送るメールのことを「インサイドセールス」と呼びます。テレアポでいうコールドコールやホットコールとも少し概念が違います。あくまでも、見込顧客が何らかのアクションを起こし、それに呼応する形で連絡をとります。
コールドコールを経験したことのあるセールスならおわかりのとおり、インサイドセールスは、見込顧客にもセールスにもストレスのない行為です。見込顧客が持っている情報がほぼわかっているので、それを補完する作業がインサイドセールスであり、その目標は案件化、つまりこれまでの営業(セールス)に引き継ぐことです。ここまでの流れをきちんとつくれれば、マーケティング+インサイドセールス+フィールドセールスとそれぞれの役割と見込顧客のカスタマージャーニーを一致させることに成功します。
8.おわりに
今回は、CRMの本質である、顧客関係管理、とその活用方法についてでした。
「働き方改革」を進めていくためには、業務プロセスの効率化や生産性の向上が必要です。このような取り組みを進めていく一つの方法としては、分業を進め特化した業務について精度を高めていく方法があります。
特に、セールス領域には、リード獲得から契約までと、非常に広範な作業があり、これらを分業化することは効率化の第一歩でもあります。
インサイドセールスは、案件化の効率アップ、そして、契約率向上に無くてはならない役割になろうとしています。
インサイドセールスの導入には、自ずと顧客との関係性を共有化する必要があり、そのツールがCRMになります。
成長企業には、CRMが不可欠であり、インサイドセールスの導入に取り組んでいきましょう!
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