不動産や住宅購入者は30歳代が最も多い世代です。今の30歳代は、いわゆるミレニアル世代で、1980年代後半に生まれた世代です。この世代の特徴は、デジタルネイティブと言われ、幼い頃からデジタルデバイスに触れて育ってきていいます。この世代を顧客とする企業はどのようなマーケティングやセールスが必要でしょうか。
cover story "住宅メーカーの営業課長阿部智也さん(45歳)は、これまでは現地見学会にお越しいただいたり、住宅展示場に来場したお客様を中心に販売し、それなりに営業成績をあげてきました。しかし、最近のお客様は、これまでのお客様とは変わってきたと感じています。これからのお客様は、ネットでたくさんの情報を持っているミレニアル世代のお客様です。ミレニアル世代に向けたマーケティングやセールスには一工夫必要です。" |
目 次 2.その1:WEBサイトのスマホ最適化 3.その2:ブログの運用 4.その3:Instagram・Facebookの運用 5.その4:メールマーケティングの実施 |
1.はじめに
不動産や住宅販売のメインターゲットがミレニアム世代に入ってきました。もう一度、ミレニアル世代の特徴を整理しておきましょう。
《millennialは、千年紀の、の意》米国で、2000年代に成人あるいは社会人になる世代。1980年代から2000年代初頭までに生まれた人をいうことが多く、ベビーブーマーの子世代にあたるY世代やデジタルネイティブと呼ばれる世代と重なる。インターネットが普及した環境で育った最初の世代で、情報リテラシーに優れ、自己中心的であるが、他者の多様な価値観を受け入れ、仲間とのつながりを大切にする傾向があるとされる。M世代。新世紀世代。ミレニアルズ
出典:大辞泉より
ミレニアル世代は、以下のような特徴があります。
①ITやインターネットのリテラシーが高い ②仕事よりもプライベートを重視 ③転職によりスキルアップを望む世代 ④社会問題や社会奉仕などに意識が高い ⑤ブランドや出世などには興味がない ⑥モノよりも共感や経験などコトにお金を使う ⑦異性にも興味を示さない ⑧人によって価値観が違うのが当たり前となっている ⑨個人を尊重する一方で仲間意識が強い ⑩直接顔を合わせるより、メールやチャットでのコミュニケーションを好む |
2.その1:WEBサイトのスマホ最適化
不動産・住宅販売企業は、リクルート系や地場系のWEB仲介会社が介在してることが多く、自社のWEBサイトへの関心が低い企業が多いです。確かに、WEB仲介会社への委託による、いわゆる営業代行は効率的です。しかし、不動産賃貸の仲介したらそのまま、家を売ったら売りっぱなし、このようなビジネスに未来はありません。これを払しょくするには、自社のWEBサイトにも訪問者を増やし、WEBへのリピートを高める必要があります。
忘れてはならないのが、不動産や住宅を必要としている世代がミレニアル世代だということです。ですから、企業もデジタルフレンドリーでなくてはなりません。新しすぎる技術、難しいWEBサイトになると、スマホでの有用性が下がる危険性があります。シンプルでかつ効果の高いWEBを作成しましょう。
webサイトに最低限必要な条件は、
①映える写真や印象が伝わること
②CTA(Call to Action)が明確なこと
③WEBに最適化されていること
④メタディスクリプションは全て作成すること です。
3.その2:ブログの運用
最近のWEBサイトは、スマホに最適化しやすいようにWordpressが使われていることが多いです。レンタルサーバー事業者もWordpressをがプリインストールされている場合がほとんです。このようなサーバー環境でのWEB構築は、ブログを立ち上げておくことは普通であり、ニュースリリースや最新情報といったコンテンツをアップしている場合が多いようです。不動産や住宅販売では、ユーザーや元営業マンのブログが非常に多い中、大手ハウスメーカーもオウンドメディアを立ち上げて情報発信しています。
あなたの会社は、ユーザー情報に負けない情報を発信できていますか?一握りの悪質な不動産や住宅販売会社のために、不動産や住宅販売は、見込顧客から十分な信頼を勝ち得ていません。初見で半信半疑の営業マンとの商談より、事前に情報を持っている顧客との商談は、後者が有利なことにお気づきでしょう。
さて、あなたのWEBサイトへの流入状況はどうでしょう。
オーガニック検索はどれくらいありますか。
SNSからの流入はどうですか。
残念ながら、WEBサイトを持っていても、これらの質問に答えられない会社がほとんどのようです。
WEBサイトしか立ち上げていない会社は、ほとんどオーガニック検索では流入こないのが、現在のGoogleの検索アルゴリズムです。なぜなら、それは情報の信頼性が高いWEBサイトを上位に表示するアルゴリズムだからです。静的なWEBサイト、つまり情報量や質が低いWEBは、Googleが上位に表示しないようにしているといっても過言ではありません。
では、どのようなブログをつくればいいのでしょうか。情報の質が高いブログとは、貴社の事業、サービス、業界、技術といったコアな情報、その他、それにまつわる幅広い情報が掲載されている情報です。
ブログに必要な条件は、
①お客様がほしいと思っている情報を掲載する
②読みたくなるタイトルがついている
③写真、画像、文字(2000単語程度)
④カスタマージャーニーを考えている
⑤資料取り寄せ、無料トライアルといった次の行動を促している です。
4.その3:Instagram・Facebookの運用
InstargamやFacebookといったSNSは、不動産や住宅販売では、欠かせないマーケティングツールになりました。まだ、SNSを運用していない会社は、早くとりかかるべきです。
では、InstargamやFacebookはどのように運用すればよいでしょうか。不動産や住宅販売では、Instagramが相性がよく、最近の個別住宅やデザイナーズマンションなどは写真だけで充分に訴求できます。一方で、至って平凡な住宅やいわゆる事故物件はどのようにすればよいでしょうか。こちらは、質での価格形成が難しく、価格が安いことをプロモーションしていくことになるでしょう。このような物件に有効なのは、Facebookです。Facebookは、写真だけではなく文章でもしっかり説明できることやグループといったコミュニティをつくり、情報を限定して提供することができます。不特定多数にだすと抵抗がある情報も、グループ内に限ってだすことで、情報の価値を高められることでしょう。
InstargamやFacebookの運用に必要な条件は、
①企業のSNSは必ずしも日記的である必要はありません
②SNS広告も使ってアクセス数を確保しましょう
③近くの友達ではなく友達の向こう側の「いいね」をもらいましょう
④FB・Twitter・Instagram・Linkedinの4つは運用しましょう です。
5.その4:メールマーケティングの実施
みなさんも、新聞社などのメディア、アパレル通販、楽天などどこかの企業からメールマガジンやニュースレターを受け取っているのではないでしょうか。そのうちのほとんどのメールは開封せずに、削除、もしくはそのまま放置されているでしょうが、中にはいつも開くメールや読んでしまうメールがありませんか。メールマーケティングの難しさは、ブログと同様、コンテンツを配信しつづけることにあります。コンテンツを更新できなければ、残念ながら、メールマーケティングも続けられません。
では、どのようにメールマーケティングを続けていけばいいでしょうか。
その方法は、コンテンツを絶やさないことです。SNSに写真をアップし続けること、ブログを更新し続けることです。これができていれば、メールマーケティングが簡単になります。HubSpotでは、ブログ記事のrss.xmlで記事を自動で収集し、メールを配信する機能がありますし、リストも動的に作成してくれるので、エクセルを使ってメールアドレスリストを編集するといった作業も不要です。
メールマーケティングに必要な条件は、
①メールを送付するリストを整理してできるだけ細分化する
②細分化したリストに対して適切な記事を作成する
③メールマーケティングの目的・目標を明確にする(例えば、WEB再来訪の促進)
④メールの開封率、クリックスルーレート、各記事のエンゲージメントを確認する です。
6.その5:E-bookの配布
E-bookと書くと、まるで本を編集するかのように思えますが、そうではありません。
E-bookには、ご想像されるような本も含まれますが、もっと簡単なものは製品の比較表でしょう。
このほか、技術資料、論文、参考見積、プレゼン資料、会社概要、パンフレット、ちらしなど、pdfなどのデータで配布できるものは、全てE-bookとしてよいでしょう。E-book配布の役割は、メール以外のお客様情報をお預かりすることです。つまり、お客様が読みたい、ほしいと思う情報が詰まった資料をダウンロードしてもらい、その対価として情報を入力していただきます。
ランディングページのデザインや構成も重要ですが、CTAで欲しいと思った情報がきちんとダウンロードできればコンバージョン率もあがっていくことでしょう。
E-bookの配布に必要な条件は、
①カスタマージャーニー に合わせた適切な資料を作成する
②適切なCTA、効果的なランディングページと合わせて公開する
③コンバージョン率の目標を設け、確認、修正する です。
7.インサイドセールスの実施
ここまで読み進めていただきましたが、WEB上やインターネットを介してできることには限界があります。
今の商慣習では、対面での交渉が必要になります。顔が見えないひとから、住宅を買ったり、実物を見ていない物件を賃貸することはほとんどないでしょう。しかし、ここまでこの記事を読んできた皆さまならお気づきのように、見込顧客はすでに貴社のこと(場合によってはあなたのこと)を十分に知っていますし、身近に感じていることでしょう。
この時、あるトリガーを見つけてかける電話や送るメールのことを「インサイドセールス」と呼びます。テレアポでいうコールドコールやホットコールとも少し概念が違います。あくまでも、見込顧客が何らかのアクションを起こし、それに呼応する形で連絡をとります。
コールドコールを経験したことのあるセールスならおわかりのとおり、インサイドセールスは、見込顧客にもセールスにもストレスのない行為です。見込顧客が持っている情報がほぼわかっているので、それを補完する作業がインサイドセールスであり、その目標は案件化、つまりこれまでの営業(セールス)に引き継ぐことです。ここまでの流れをきちんとつくれれば、マーケティング+インサイドセールス+フィールドセールスとそれぞれの役割と見込顧客のカスタマージャーニーを一致させることに成功します。
8.おわりに
今回は、不動産や住宅販売といった個人資産を販売することを想定したマーケティングについて書きました。
はじめにで書いたように、ミレニアル世代は、デジタルネイティブと言われ、少し変わってきたように思われますが、おミュニケーションの手法が変わっただけで、コミュニケーションをとりたいことには変わりありません。したがって、実際に電話で話したり、訪問して顔を合わせるより、チャットなどを活用した方が密なコミュニケーションが取れる可能性があります。また、WEBから問い合わせすることにも抵抗がありませんので、チャットボットを組み込んだ高機能なWEBにも対応してくれることでしょう。
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