中小企業がブログを更新していくのは非常に難しいです。その理由は、リソース不足によるものが一番です。ただ、リソースが不足している以前に、企業ブログの役割や位置づけが間違っている可能性があります。少しブログに対する考え方を変えるだけで難儀な更新も容易になっていくでしょう。
1.ブログの変遷
ブログが新語・流行語大賞にノミネートされたのが2005年。
その前まで、インターネットは、特定の人の間で情報交換をするパソコン通信、または、企業がホームページを作成し会社を紹介する程度の利用方法に限られていました。
しかし、ブログサイト(後にCMS:Contents Management System)と呼ばれる誰もが気軽に情報発信できるサービスが誕生し、多くの人が利用を始めます。堀江貴文氏、藤田晋氏など起業家が書くブログが流行り、さらに、芸能、スポーツなどに広がっていきます。また、愛好家のブログにはアフィリエイトと呼ばれるマネタイズ機能も付与され、素人から一気に専門家へのステップを駆け上がる手段になっていました。今でいうSNSのインフルエンサーですね。
この頃から、企業のWEBサイトの役割も変わり、ただ作ればいいのではなく、常に新しい情報を出さなければなくなっていきました。そのためのシステムが、MovablTypeやWordpressといったCMSです。
CMSで作られるWEBは非常に更新がしやすく、技術的には概ね仕上がりました。
その後、2010年あたりからMixiやfacebook、TwitterなどSNSが台頭し、ブログからSNSへと媒体が変化していきます。さらに、2011年、東日本大震災をきっかけにLINEが、Instagramが上陸するなど、年代や目的によって様々なサービスが利用されています。
ここまでくるのに、約10年。2015年には、現在、よく使われているWEBサービスは出揃いました。
2.企業ブログの役割は終わったか?
今までの企業ブログの役割は終わりました。
それは、会社の風景であったり、新聞掲載の報告であったり、新製品の発表であったりというあたりさわりない情報発信という役割のブログは終わりました。
これまで企業ブログとして載せられていた記事は、総じてショートテールのコンテンツばかりです。新聞、雑誌に近いコンテンツです。なぜ、このような記事が企業ブログに向かないかといえば、企業から直接受け取らなくてもよい程度の情報だからです。新商品を発表したとして、それが社会を変えるようなものだとすれば、日経新聞に大きく書かれるでしょう。しかし、それほどのインパクトがないなら、知るに値しない情報ということです。経営者やブログ担当者が、「こんな情報は不要だ」と薄々感じているのなら、その情報は間違いなく不要です。不要なことを認めて改善に取り組みましょう。
3.コンテンツを持つということ
今までの企業ブログの役割は終わりましたが、コンテンツとしてのブログの重要性は高まっています。
それは幾つかの時代背景にあると思いますので整理してみましょう。
①働き方改革
以前は、情報交換のために、企業を訪問したり、工場を見学したりというのが当たり前でした。残業しての出張準備や土日にかけての出張も常態化していました。しかし、現在では、残業を減らし、土日勤務もなしとなると、出張のための移動時間は決して有効な時間ではありません。
出張準備にあてる時間があるなら、その時間を別の生産的な時間に使うべきですし、移動時間をなくすために、WEB会議システムを積極的に取り入れていかなければなりません。
②業務システムの進化
工場や倉庫には、既にたくさんのロボットが稼働しています。また、SalesForceに代表される営業支援システムを利用する会社が増え、経理システムも多くの会社が電子化しています。では、人間が介在すべき仕事はどこにあるのでしょうか。
事業戦略は人間が介在するでしょうが、事業計画はAIが立ててくれそうです。購買リストは、AIが作ってくれそうですが、購買の判断はもう少し人間が介在しそうです。
③契約や法整備の充実
インターネットの進展は、契約や法整備に大きな影響を及ぼしました。印鑑やサインが必要だった契約も、不要になり、クリック1つで世界中の商品が購入できるようになりました。法律が整備され、ルールが確立されこそ、安心してインターネット上で売買が可能になりました。
以上を鑑みると、高効率化が進み、人の介在が少なくなり、空間的物理的な壁がなくなっても必要なことの一つは、企業の価値を創造することではないでしょうか。企業の価値をつくることは、コンテンツをつくることそのものですので、今後もコンテンツを作り続ける必要があります。
4.新しいメディアとしてのブログ:オウンドメディア
オウンドメディアを新しいメディアとして考える方がよいのか悩むところですが、ほとんどの企業にWEBサイトがあるにも関わらず、それをメディアと考えていないので、新しいメディアと考えた方がわかりやすそうです。
このオウンドメディアが今注目されています。
オウンドメディアに該当するものは・・・
①WEBサイト
②広報誌
③ブログ
④メルマガ
⑤チラシ
⑥ダイレクトメール
⑦投げ込み資料
⑧名刺(三つ折り、4つ折りなど工夫された名刺の方もいますね)
といったところでしょうか。
特に、自動車販売業、不動産業、スーパーマーケットはこのような広告や広報を行うことが多いです。これらをまとめてオウンドメディアと考えて、ターゲット、役割、タイミング、手法を戦略的考えてに実施していきましょう。この戦略を考えるのに、カスタマージャーニーマップが有効だと思います。これについては、以前の記事「カスタマージャーニーとコンテンツ:見込顧客に心地よい旅を提供しよう」をお読みください。
5.オウンドメディアとしてのブログの位置づけ
ブログは、CMSの機能を最大限にいかせる、非常に簡単で、すばやく情報を提供できる手段です。しかし、残念ながら有効に活用できていない企業がほとんどです。有効に活用できない一つの要因がブログを日記として扱っているからでしょう。これは、前述したように、ブログが個人の日記や意見を自由に述べられるメディアとして発展してきたためでしょう。
しかしオウンドメディアとしてのブログは、日記でもなければ、社長の主張をする場でもありません。
ブログはただの機能ですので、そこに記載されるべきは、自社の強みや業界の潮流といった、お客様がほしい御社が持つ情報です。
御社のブログも、少しだけ目線を変えて、ブログを書いてみてはいかがでしょうか。
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