POINT ・会社の規模や事業期間によって保有リードの規模が違う ・保有するリードの規模を見誤ると、マーケティング施策の効果がでにくい ・一般的にマーケティング施策より先に打つべき施策はセールスパイプラインの構築・管理 |
1.会社の規模に応じたマーケティング施策を計画しているか
最近、インバウンドマーケティングに取り組む企業が増えてきましたが、会社の規模によってはインバウンドマーケティングより先にやるべきことがあるかもしれません。
事業を長くやっていたり、営業職をたくさん雇用しているような会社は非常に多くのリードを保有しています。一方で、事業を長くやっていても限られた企業との相対取引で事業をやっていたり、事業を開始してから短い企業では、保有するリードが少ないと考えられます。
インバウンドマーケティングにしても、コンテンツマーケティングにしても、マーケティング戦略を実施するにあたっては、自社リソースを最大限にいかしていかなければなりません。また、マーケティング施策の実施によって獲得したリードをどのように契約に導いていくかなど、計画的に実施していきましょう。
保有するリードの確認
社内の名刺や年賀状リストなどから保有するリードを集めましょう。特に、重要なのは経営層が保有する名刺です。この名刺の束は玉石混交になっていて、営業先として利用できるものもあれば、営業に使えないものまで含まれています。中小企業では、社長が実質的に営業職のトップになっている場合も多く、この状況を改善することも大切な経営課題です。
セールスパイプラインの確認
マーケティング専任の場合には、セールスパイプラインを知らないことも多いはずです。営業は何となく聖域化しており、パイプラインを聞いても教えてくれないこともあります。もしかすると、そもそも明示されたパイプラインがない場合も多いです。マーケティング施策で獲得した見込客を
保有リード数によってどのような課題があるか
保有リード数によってリードに対する課題が異なりますので、保有リード数に応じた課題を整理します。リードの多少は抽象的ですが、営業担当者1名が受け持つリード、マーケティング担当者が受け持つリードなど、リソースに応じたものを考えてください。
リードが多い場合
リードが多い場合には、一般的に待っていても顧客からの引き合い対応しているだけで十分な売上になります。一般的に待ち営業と言われる状態です。待ち営業での課題は、お客様に対して自社の提供価値が伝わっているのか十分に把握できないことです。また、営業職はルート営業が主な業務となり、ただ何となく顧客と面談し、1日が終わることも少なくありません。
リードが中規模の場合
リードが中規模な場合は、自社にとってこの状態が適正なのかもれません。しかし、クロージング精度が低く、売上につながっていないかもしれません。また、売上高を上げていきたい成長企業にとっては、適正よりも多い状態を維持していかなければ、成長が見込めません。
リードが少ない場合
リードが少ない場合は、対処が難しくなります。少ないリードから適切な収益を上げていれば、事業としてとてもうまくいっている状態とも言えます。一方で、収益があげれていなければ、事業の存続に影響してしまいます。リードが少ない場合には、事業ドメインまで遡って再考する必要があるかもしれません。
保有リード数とマーケティングファネルから自社のマーケティング施策を考える
保有リード数からみたそれぞれの課題を解決するために、保有リード数とマーケティングファネルとのマトリックスをつくって、マーケティング施策を考えましょう。しかし、マーケティング施策は、ファネルの上(ToFu)・中(MoFu)・下(BoFu)で異なります。まず、ToFuではリード・ジェネレーション、つまりリードを生み出すための施策を実施します。MoFuではリード・ナーチャリング、つまり契約に向けて商品やサービスの理解や価値提案を行います。最後に、BoFuではパイプラインを管理して効率的効果的なクロージングを行います。最後に、契約後のアフターサービスが必要な業態であれば、顧客からのフィードバックループを回していく必要があるでしょう。
図 マーケティングファネルと保有リードからみた施策マップ
リードが多い場合
リードが多い場合、すでにBoFuでのクロージングが手いっぱいになっている可能性があります。この場合、クロージング済の顧客へのフォローアップが十分に行き届かないため、アフターサービスをしっかり行いましょう。商品やサービスの改善につながげる顧客フィードバックのためのデータをとったり、直接顧客への連絡をとることで、関係性をつなげとめることができます。また、クロージング確率にも目を向けます。クロージングしやすいリードとそうではないリードをしっかり見極めることでクロージング確率を向上します。
そのためには、MoFuにおけるリード・ナーチャリングを適正化します。また、リードスコアリングを行うことで、スコアリング方法のチューニングするだけで、リード・ナーチャリングを適正化できます。
リードが中規模場合
リードが中規模な場合、パイプライン管理を適切に行い、アップセルやクロスセルなどにも対応できるようにします。クロージングまでのプロセスをパイプラインで管理することで、追い続ける必要がないリードを選別し、ナーチャリング済みリードに対して適切にクロージングします。パイプラインの構築を徹底すると、質の高いリードを必要としますので、MoFuでリード・ナーチャリングを改善します。これらが整ってきたら、ToFuやアフターサービスの改善にも努めましょう。
リードが少ない場合
リードが少ない場合、リードを増やすしかありません。この状態では、マーケティングオートメーションの費用やコンテンツ作成にかかる時間によって、マーケティングのROI(Return on Investment)が低くなります。すべての顧客をToFuからとっていくのは理想的ですが現実的ではありません。
したがって、インバウンドマーケティングでToFuのマーケティング施策を行うとともに、BoFuで紹介による案件獲得や既存顧客へのアップセルやクロスセルにも力を入れましょう。
自社の事業ドメインの定義を明確にしたマーケティング戦略を立てよう
「御社の事業ドメインを教えてください」という質問に答えられますか。
事業ドメインとは、誰に(Who)、何を(How)、どうやってを整理する考え方です。
経営学の教科書でもよく事例に挙げられるキーエンス社では、
・顧客:ファクトリーオートメーションを扱うメーカーや工場
・製品:最先端のセンサー技術を使ったセンシング製品
・販売:ファブレス型、ソリューション提案型営業、売り切り
のような事業ドメインで事業展開しています。
このように自社の事業ドメインがはっきりとさせられれば、MoFuにおいてリード・ナーチャリングを迷うことなく価値提案ができます。もし、事業ドメインが間違っていたら販売につながらないので、経営層は経営戦略の見直しを迫られるでしょう。
事業ドメインを定義することで、ファネルのどこからマーケティング施策を展開していけばよいかが明確になります。また、そのうえで、自社のリソースに応じた施策を実施することで、よりマーケティング戦略の成功に近づくことでしょう。
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